上弦の月は、満ちていく途中の半月。 右半分が光り、左半分は影に沈んでいます。 この「満ちていく力」が最も勢いを増す時期に、言葉は特別な力を帯びます。
古来、日本では言葉に霊力が宿ると信じられてきました。 「言霊──ことだま」と呼ばれるその力は、 発した瞬間に空気を震わせ、見えない波紋となって広がっていきます。 上弦の月のもとでは、その波紋がいっそう遠くまで届くのです。
だからこそ、この時期に口にする言葉は丁寧に選びたいもの。 誰かへの感謝、自分への労い、未来への誓い。 声に出さなくても構いません。心のなかで静かに唱えるだけで、 言霊は月の満ちる力に乗って、届くべき場所へ届いていきます。
逆に、この時期に発した否定の言葉もまた、力を持ちます。 自分を責める言葉、誰かを傷つける言葉。 それらもまた月に乗って遠くへ飛んでしまう。 だからこそ、上弦の夜は「言葉の棚卸し」をする良い機会です。
今夜、あなたが月に届けたい言葉は何ですか。 半月の光を見上げながら、ひとつだけ、大切な言葉を選んでみてください。 その言霊は、月が満ちるころ、きっとどこかに届いています。